2024年度介護報酬改定の審議報告 

文書作成日:2024/01/25
2024年度介護報酬改定の審議報告

 2024年度の介護報酬改定について、厚生労働省の社会保障審議会 介護給付費分科会にて審議報告がまとまり、12月19日に公表されました。

 以下、予定されている主な改定事項をご案内します。

  1. 地域包括ケアシステムの深化・推進
    • 訪問看護において、専門性の高い看護師が計画的な管理を行うことを評価する加算を新設。
    • 退院後のリハビリテーション提供時に、入院中に医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書の入手、内容把握を義務付け。
    • 所定疾患施設療養費の対象に慢性心不全が増悪した場合を追加。
    • 高齢者施設等と在宅医療を担う医療機関等の実効性ある連携体制構築の見直し。
    • 居宅介護支援における特定事業所加算の算定要件の見直し。
    • 施設内での感染者療養や感染拡大防止のための医療機関との連携の取組を評価する加算を新設。
    • 業務継続計画が未策定の際は、特定の場合を除き基本報酬を減算。(1年間の経過措置)
    • 虐待の発生又はその再発を防止するための措置が講じられていない場合に、基本報酬を減算。
    • 認知症のチームケアを評価する加算を新設。
    • 一部の福祉用具について貸与と販売の選択制を導入等。
    • 中山間地域等における訪問介護における特定事業所加算の見直し。
    • 看取り・ターミナルケア関係の加算の見直し等。
  2. 自立支援・重度化防止に向けた対応
    • リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組について、介護老人保健施設・介護医療院・介護老人福祉施設等の関係加算に新区分を設置。通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算に新区分を設置。
    • 通所リハビリテーションの事業所規模別の基本報酬について見直し。
    • 居宅療養管理指導費の算定対象を、通院又は通所が困難な者から通院困難な者に見直し。
    • 訪問介護等において、介護職員による口腔衛生状態、口腔機能の評価の実施、利用者の同意のもとの歯科医療機関や介護支援専門員への情報提供に新加算を設置。
    • 介護保険施設の管理栄養士による、入所者等の栄養管理情報を他の介護保険施設や医療機関等に文書等で提供することを評価する新加算を設置。
    • 通所介護等における入浴介助加算について見直し。
    • 個室ユニット型施設の管理者に、ユニットケア施設管理者研修の受講を努力義務。
    • 在宅復帰・在宅療養支援等評価指標及び要件について見直し。
    • 介護老人保健施設における薬剤の評価・調整に新区分を設置。入所前の主治医と連携して薬剤を評価・調整した場合を高く評価。
    • 科学的介護推進体制加算・自立支援促進加算について、LIFEの入力項目の定義の明確化や入力負担の軽減等。
    • ADL維持等加算、排せつ支援加算、褥瘡マネジメント加算(介護医療院は褥瘡対策指導管理)について見直し。
  3. 良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
    • 介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、「介護職員等処遇改善加算」に一本化。
    • 人員配置基準等で必要数を定めている職種のテレワークの取扱いの明確化。
    • 利用者の安全、介護サービスの質の確保、職員の負担軽減策を検討する委員会の設置を義務付け。(3年間の経過措置)
    • 見守り機器等のテクノロジーの導入、生産性向上ガイドラインに基づいた業務改善の継続実施、効果に関するデータ提出に対し新加算を設置。
    • 見守り機器等のテクノロジーの複数活用及び職員間の適切な役割分担の取組等により、生産性向上に先進的に取り組む特定施設について、介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減が行われていることを確認した上で、人員配置基準の特例的な柔軟化(3:0.9)。
    • 介護老人保健施設等において、一定の要件を満たした場合に夜間における人員配置基準を緩和。
    • 認知症対応型共同生活介護において、一定の要件を満たした場合に夜間支援体制加算の要件を緩和。
    • 就労開始から6月未満のEPA介護福祉士候補者及び技能実習の外国人について、一定の要件の下、人員配置基準に算入可とする。
    • 管理者が兼務できる事業所の範囲について、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない旨を明確化。
    • 一訪問看護における24時間対応について、一定の場合に看護師等以外の職員も利用者又は家族等からの電話連絡を受けられるよう見直し。
    • 居宅介護支援費(Ⅰ)に係る介護支援専門員の1人あたり取扱件数を「45未満」に改めるとともに、居宅介護支援費(Ⅱ)の要件について、ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合に改め、取扱件数を「50未満」に改める。また、居宅介護支援費の算定にあたっての取扱件数の算出にあたり、指定介護予防支援の提供を受ける利用者数については、3分の1を乗じて件数に加えることとする。
  4. 制度の安定性・持続可能性の確保
    • 訪問介護の同一建物減算について、事業所の利用者のうち、一定割合以上が同一建物等に居住する者への提供である場合に、報酬の適正化を行う新区分を設置等。
    • 理学療法士等のサービス提供状況及びサービス提供体制等に係る加算の算定状況に応じ、理学療法士等の訪問における基本報酬及び12月を超えた場合の減算を見直し。
    • 短期入所生活介護における長期利用について、施設入所と同等の利用形態となる場合、施設入所の報酬単位との均衡を図る。
    • 利用者が居宅介護支援事業所と併設・隣接しているサービス付き高齢者向け住宅等に入居している場合や、複数の利用者が同一の建物に入居している場合には、介護支援専門員の業務の実態を踏まえた評価となるよう見直し。
    • 多床室の室料負担について、予算編成過程において検討。
    • 介護予防通所リハビリテーションにおける身体機能評価を更に推進、見直し。
    • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬に、夜間対応型訪問介護の利用者負担に配慮した新区分を設置。
    • 長期療養生活移行加算の廃止。
  5. その他
    • 運営基準省令上、事業所の運営規程の概要等の重要事項等について、「書面掲示」に加え、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、介護サービス事業者は、原則として重要事項等の情報をウェブサイトに掲載・公表しなければならないこととする。
    • 通所系サービスにおける送迎について、送迎先について利用者の居住実態のある場所を含めるとともに、他の介護事業所や障害福祉サービス事業所の利用者との同乗を可能とする。
    • 基準費用額(居住費)について、予算編成過程において検討。
    • 令和6年度以降の級地の設定について、公平性を欠く状況にある自治体に特例を設置。

 審議報告の全文は、以下のサイトでご覧いただけます。

厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告.pdf

参考:
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告

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