高齢者施設の感染症対策の実施状況/厚労省調査
厚生労働省が今年3月に実施した「高齢者施設等における医療機関との連携体制等にかかる調査」について、結果が報告されました。
調査対象73,926施設のうち91.9%にあたる67,910施設より回答を得ています。結果の概要は以下のとおりです。
医療機関の確保について
- 実施率は全体で93.0%でした。
- 施設類型別に見ると、最も高いのは短期入所療養介護の97.8%、ついで介護老人保健施設の97.7%で、ほとんどの施設類型で9割を超えています。
- 9割を切るのは軽費老人ホームの84.4%とサービス付き高齢者向け住宅の88.3%の2つでした。
感染予防等の研修について
- 全体の実施率は94.2%です。
- 施設類型別では、すべての施設類型で9割を超えています。
- 95%を下回ったのは、サービス付き高齢者向け住宅の90.3%、有料老人ホームの92.1%、認知症対応型共同生活介護事業所の92.5%、介護療養型医療施設の93.0%、軽費老人ホームの93.5%です。
感染症予防等の訓練について
- 全体の実施率は86.4%で、今回の調査項目で最も低い実施率となった項目です。
- 施設類型別で9割を超えたのは、介護老人保健施設の92.5%、介護老人福祉施設の91.7%、短期入所療養介護の91.6%、地域密着型介護老人福祉施設の90.1%の4類型です。
- 実施率が85%を下回ったのは、サービス付き高齢者向け住宅の82.1%と、有料老人ホームの82.4%、認知症対応型共同生活介護事務所の82.9%です。
ワクチン接種について
- 1回目のワクチン接種の実施率は全体で96.7%、2回目は95.0%でした。
- 施設類型別でも1回目、2回目とも全類型で9割を超えており、1回目については短期入所生活介護事務所の94.4%を除くすべての類型で95%を超えています。
すべての事項を実施した割合
- 上記のすべての項目を実施している施設は全体の80.7%です。
- 施設類型別で高い実施率となったのは、介護老人保健施設の89.9%、短期入所療養介護の88.6%、介護老人福祉施設の88.0%でした。
- 低い実施率となったのは順にサービス付き高齢者向け住宅の74.9%、軽費老人ホームの75.1%、有料老人ホームの75.5%でした。
都道府県別の結果
- 上記のそれぞれの項目の実施状況について、都道府県別の結果も報告されています。これを見ると大きなばらつきがあることが分かります。
- すべての事項を実施した割合に注目すると、実施率の高い順に、埼玉県の100%、香川県の99.7%、徳島県の99.5%と続き、他に秋田県(98.4%)、長野県(98.2%)、鳥取県(97.6%)、宮崎県(95.9%)、大阪府(95.7%)、栃木県(92.8%)、鹿児島県(92.4%)で9割を超えました。
- 一方で実施率の低いところでは、青森県の48.7%、新潟県の53.8%があり、他に7割を切る県として千葉県(64.2%)、三重県(64.9%)、福島県(65.8%)、大分県(65.8%)高知県(66.4%)、宮城県(68.4%)、長崎県(68.8%)、滋賀県(69.2%)が挙げられます。
調査結果の全容は、以下の報告書でご確認ください。
厚生労働省「高齢者施設等における医療機関との連携体制等にかかる調査結果」
参考:
厚生労働省「介護事業所等における新型コロナウイルス感染症への対応等について」
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。