来年度の診療報酬改定は6年に1度の介護報酬改定等との同時改定のうえ、医療介護総合確保方針の節目の年となります。
コロナの経験とポスト2025年、2040年問題を視野に入れた重要な改定です。ポイントを解説します。
キーワード① 複合型サービスの新設
複数の在宅サービスを組み合わせた新類型として、「訪問+通所」の複合型サービスの精査が行われました。訪問介護利用者の46.7%が通所介護も利用しており、確実な需要が見込まれます。また、人材の調整がしやすい、在宅時の状況も確認できる、利用者の性格やニーズが把握しやすいなど、事業者側にも多くの利点があります。
人員・設備の基準や介護報酬の単位・単価の設定などは秋以降の議論で決定されますが、複数サービスを横断することから、地域の介護サービス全体の役割分担や利用者分布に影響することも予想され、参入予定のない事業者にも目が離せない改定事項となりそうです。地域の医療機関や他施設との連携強化も鍵となります。
キーワード② 財務諸表の公表義務化とLIFE
情報利活用の観点から、その前段階としての記録・公表に一層力点が置かれます。
まず、原則すべての介護サービス事業者を対象に、財務状況の公表の義務化が予定されています(現在は医療法人や社会福祉法人が対象)。財務諸表の他、従事者の情報(職種別の従事者数、従事者の経験年数、一人当たり賃金)も公表の対象に追加することが検討されています。公表に先立ち、情報を整理し経営状況を確認するなど、準備が必要です。
LIFE(科学的介護情報システム)の改善・積極活用も議論されています。特に訪問系サービスの評価項目が拡大され、自立支援や重度化防止のためのアウトカム評価(サービスによって利用者の状態がどう変化したかの評価)なども検討されています。入力負担が大きく、現状は事業者のメリットは多いとはいえませんが、今後は加算を算定するための条件としてLIFEの登場回数が増えていくものと思われます。LIFEを戦略的に活用することが事業者に求められるようになります。
他にも処遇改善加算の一本化や福祉用具とケアプラン費の見直し、小規模法人の大規模化など、重要事項が目白押しです。具体的な単価や算定要件は来年1月頃に示されます。
介護報酬改定は、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会で検討されています。以下のサイトで経過をご確認ください。
参考:
厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会」
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。