人事労務Q&A ~退職した職員からの未払い残業代請求~ 

文書作成日:2021/03/31

今回は、退職した職員から届いた、未払い残業代の請求についての相談です。

先月退職した職員から内容証明の郵便が届きました。内容は、「在職時に受け取っていない残業代があるため、追加で支払って欲しい」というものでした。タイムカードで労働時間を管理し、その記録に従って残業代を支払っているため、未払い残業代はないと認識していますが、どのように対応すればよいのでしょうか?

未払い残業代を主張する根拠を確認し、未払いのものがあれば、追加の支払いが必要になります。今後、同じことが起こらないように、実際の手順を確認し、問題があれば改善しましょう。

1.残業代の請求根拠の確認
まずは退職者に、未払い残業代があると主張している根拠を示してもらいましょう。
例えばタイムカード以外で労働時間が記録されている資料があれば、その資料を送ってもらい、示された資料をもとに、その時間について労働をしていたかを精査します。精査に時間がかかるようであれば、時間の猶予をもらい、回答の日時を伝えます。
なお、未払い残業代の時効は、2020年3月31日までに支払うべきものは2年であり、2020年4月1日以降に支払うものから3年に延長されています。

2.問題が生じやすいケース
未払い残業代が請求される原因には、労働時間管理における説明不足や誤った運用があります。
例えば、始業前に職員が自主的に任意参加の勉強会を開催していたところ、時間の経過とともに強制参加のような勉強会になっており、参加しなければ業務に支障が出てくるようなケースです。勉強会や研修はその内容から、労働に該当するのかを事前に確認し、労働ではないとする場合には、誤解のないように説明することが求められます。
また、36協定で1ヶ月の上限時間を30時間として締結し、この内容を遵守するために残業時間を30時間までしか付けられないと管理者から言われ、タイムカードを打刻し再び業務を行っているということがあります。36協定の内容を遵守することは重要ですが、仮に36協定で締結した時間数を超える残業を行ったときであっても、超えた時間数の残業代の支払いが必要です。
そもそもこのような運用が行われていないかを確認し、運用に問題があれば、適正に労働時間を申告するように職員と管理者に説明を行い、場合によっては36協定で締結している時間数を変更する(長くする)などの対応が求められます。

退職者から未払い残業代の請求があった際、対応を放置しておくと、退職者との関係がこじれ、解決に時間を要することがあります。誠実に対応するとともに、請求に至った原因をみつけ、改善を進めましょう。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。

SNSでもご購読できます。



ご相談お問合せは最寄りのオフィスにご相談ください

京都本社

住所:
〒604-8187
京都市中京区東洞院通御池下る笹屋町445
日宝烏丸ビル5F 2号室

営業時間:
月曜~土曜 9:00~18:00

電話番号:
075-708-6776

メールアドレス:
info@yueisya.com
電話問い合わせ

大阪オフィス

住所:
〒567-0824
茨木市中津町21-10
インクルード社会保険労務士事務所内

電話番号:
072-628-5889

メールアドレス:
wada.tomoko@sr-include.com

電話問い合わせ

名古屋オフィス

住所:
〒454-0954
名古屋市中川区江松5-2304

メールアドレス:
lord.acclaim@gmail.com

電話問い合わせ

お問合せフォームからのご相談も可能です

問い合わせフォームはこちら

夕映舎サテライトオフィス
スタッフ募集しております

サテライトオフィス加盟募集

  • 夕映舎業務のエリア展開にご協力いただける方を募集しています。
  • ご自身の事務所をお持ちの方であれば業種問いません。
  • 詳細はお問い合わせください

夕映舎テレワークスタッフ募集

  • 事務所所在地 京都・大阪・名古屋