厚生労働省によると、労働者の3人に1人が何らかの病気を抱え治療しながら仕事をしています。ここでは、今年3月に発表された調査結果(※1)から、医療機関等(以下、医療,福祉)における労働者が治療と仕事を両立できる取組内容などをみていきます。
調査結果から、医療,福祉の事業所における傷病(がん、糖尿病等の私傷病)を抱えた労働者が治療と仕事を両立できるような取組の有無をみると、取組がある事業所割合は42.3%でした。調査結果全体の41.1%を上回ったものの、5割には届きませんでした。
取組がある事業所割合を100とした場合の具体的な取組内容をまとめると、表1のとおりです。
医療,福祉では、通院や体調等の状況に合わせた配慮、措置の検討が93.5%となりました。両立支援に関する制度の整備や相談窓口等の明確化は20%台でした。
次に、取組がある事業所割合を100とした場合の、治療と仕事を両立できるような取組で困難や課題と感じている内容をまとめると、表2のとおりです。
代替要員の確保が87.4%で最も高くなりました。合計より16.9ポイントも高く、医療,福祉の事業所における代替要員の確保の難しさがうかがえる結果となりました。
厚生労働省では、治療と仕事の両立を支援するサイト(※2)を設け、企業や労働者に対して関連情報を提供しています。これから職員の治療と仕事の両立支援に取り組む医療機関等は、こうした情報も参考にされてはいかがでしょうか。
(※1)厚生労働省「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)」
全国の常用労働者10人以上を雇用する事業所から抽出した約14,000事業所を対象にした2021年10月時点の調査結果です。
(※2)厚生労働省「治療と仕事の両立支援ナビ」
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