令和4年度診療報酬改定/基本方針
令和4年度診療報酬改定について、12月9日に厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会と医療部会の会合で基本方針が決定され、12月10日の中央社会保険医療協議会総会に報告、厚生労働省ホームページにて正式に公表されました。
今回は、この基本方針の内容を確認します。
まず今回の改定では、以下の4つの基本認識が示されました。
【改定に当たっての基本認識】
- ①新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築など医療を取り巻く課題への対応
- ②健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現
- ③患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
- ④社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和
これに加え、社会保障の機能強化と持続可能性の確保を通じて、安心な暮らしを実現し、成長と分配の好循環の創出に貢献するという視点も、重要な位置付けとされています。
この基本認識を踏まえ、次の4つに分類された基本的視点が設けられました。とりわけ(1)と(2)を重点課題としています。
【改定の基本視点と具体的方向性】
(1)新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築
[具体的方向性の例]
- 当面、継続的な対応が見込まれる新型コロナウイルス感染症への対応
- 医療計画の見直しも念頭に新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組
- 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価
- 外来医療の機能分化等
- かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価
- 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
- 地域包括ケアシステムの推進のための取組
(2)安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進
[具体的方向性の例]
- 医療機関内における労務管理や労働環境の改善のためのマネジメントシステムの実践に資する取組の推進
- 各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング 、チーム医療の推進
- 業務の効率化に資するICTの利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価
- 地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の確保
- 令和3年11月に閣議決定された経済対策を踏まえ、看護の現場で働く方々の収入の引上げ等に係る必要な対応について検討するとともに、負担軽減に資する取組を推進
(3)患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
[具体的方向性の例]
- 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価や医薬品の安定供給の確保等
- 医療におけるICTの利活用・デジタル化への対応
- アウトカムにも着目した評価の推進
- 重点的な対応が求められる分野について、国民の安心・安全を確保する観点からの適切な評価
- 口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進
- 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価
(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
[具体的方向性の例]
- 後発医薬品やバイオ後続品の使用促進
- 費用対効果評価制度の活用
- 市場実勢価格を踏まえた適正な評価等
- 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価(再掲)
- 外来医療の機能分化等(再掲)
- 重症化予防の取組の推進
- 医師・病棟薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進
- 効率性等に応じた薬局の評価の推進
なお、正式諮問は年明けとなる見込みです。
参考:
厚生労働省「令和4年度診療報酬改定の基本方針」
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