政府は2025年6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針)」を閣議決定しました。骨太の方針は、翌年度以降の予算編成の基本的な方針を示すものであり、医療・福祉政策においても重要な指針となります。
今回の方針では、診療報酬や介護報酬の改定につながる施策や、医療DXの推進、地域医療提供体制の再構築など、重要な内容が数多く盛り込まれています。以下に医療・福祉分野の主なポイントを整理します。
社会保障関係費の増額方針
- 高齢化に伴う自然増に加え、人件費や物価高騰、医療・介護・障害福祉等の賃上げや経営の安定を勘案して増額する方針。
- これまでの「高齢化相当分に限る」増額から、経済・物価動向等の実態を踏まえた対応へ転換。
- 次期報酬改定をはじめとした必要な対応策において、経営の安定や賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行うと明記。
医療・介護職員の処遇改善
- 2024年度診療報酬改定による処遇改善・経営状況等の実態を把握・検証し、2025年度末までに結論が得られるよう検討。
- 介護・障害福祉分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善や業務負担軽減等の実現に取り組む。
医療提供体制の改革と地域偏在への対応
- かかりつけ医機能の発揮される制度整備、医療の機能分化・連携や医療・介護連携、適切なオンライン診療の推進等を進める。
- 偏在対策を含む看護職員の確保・養成や訪問看護におけるICT活用を含む看護現場におけるDXの推進、在宅サービスの多機能化といった在宅医療介護の推進に取り組む。
デジタル化・医療DXの推進
- 2025年12月の経過措置期間後はマイナ保険証を基本とする仕組みに円滑に移行。電子カルテ情報共有サービスの普及や電子処方箋の利用拡大、PHR情報の利活用を進めるほか、標準型電子カルテの本格運用の具体的内容を2025年度中に示すことも含め必要な支援策の具体化を検討。
- 介護情報基盤の整備、診療報酬改定のDX、薬局が有する情報の標準化とDXを進める。
出産費用の無償化、高額療養費制度の見直しなど
- 2026年度を目途に標準的な出産費用の自己負担の無償化に向けた対応。産科・小児科医療機関を取り巻く厳しい経営環境を踏まえ、医療機関の連携・集約化・重点化を含めた必要な支援。
- 高額療養費制度について、長期療養患者等の関係者の意見を丁寧に聴いた上で、2025年秋までに方針を検討、決定。
今回の骨太の方針は、「医療提供体制の持続可能性」「医療機関の経営安定」「デジタル活用による業務効率化」など、医療機関や福祉施設等の実務に直結する方向性が複数示されています。報酬改定等の施策にどう影響していくのか、今後の議論も見逃せません。
骨太の方針2025の全文は、以下のサイトでご確認ください。
[参考]
内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針2025)」
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。