厚生労働省が策定した第13次労働災害防止計画において、社会福祉施設は死傷災害の重点業種のひとつとされています。ここでは今年5月に発表された資料(※)から、社会福祉施設における労働災害の発生状況をみていきます。
資料から、社会福祉施設における労働災害の発生状況をまとめると、下表のとおりです。
2021年の労働災害による休業4日以上の死傷者数(以下、死傷者数)は18,421人でした。うち、新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害(以下、新型コロナ感染による労働災害)の死傷者数は5,624人、新型コロナ以外による労働災害の死傷者数は12,797人となりました。新型コロナ感染による労働災害を除いても、労働災害による死傷者数は増加傾向にあります。
また、死傷年千人率も増加を続けています。2017年には2.17人でしたが、2021年には4.23人と4人を超えました。
主な事故の型別の死傷者数では、腰痛などの動作の反動・無理な動作と転倒が突出しています。2021年の死傷者数は、動作の反動・無理な動作が4,539人、転倒が4,336人でした。どちらも2019年から2年間で、1,000人以上増加しており、深刻な状況にあるといえましょう。
なお、新型コロナ感染による労働災害の死傷者は、事故の型別ではその他に分類されています。2021年の結果では、主な事故の型別の中で最も死傷者数が多く、新型コロナウイルス感染症の影響の大きさを感じさせます。
労働災害の減少はもちろん業務負担軽減のための取組が、より一層重要になっているといえましょう。
(※)厚生労働省「令和3年労働災害発生状況の分析等」
5月30日発表の「令和3年の労働災害発生状況を公表」で参考資料として公開された、令和3年の労働災害発生状況を取りまとめた資料です。第13次労働災害防止計画は、労働災害を減少させるために国や事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。