2022年4月から、中小企業でも職場におけるパワーハラスメント(以下、パワハラ)の防止措置を講じることが義務化されます。ここでは、厚生労働省の調査結果(※)から、福祉施設等(以下、医療,福祉)におけるパワハラ防止のための取組への対応状況などをみていきます。
調査結果によると、過去3年間にパワハラに関する相談実績や事案があったとする割合は、医療,福祉では6.4%でした。調査結果全体の9.5%に比べると、低くなっています。相談実績や事案があった企業における対応内容をまとめると、表1のとおりです。
医療,福祉では、「被害者に対する配慮を行った」、「事実関係を確認した」が90%程度を占めました。全体と比較すると、再発防止に向けた措置を講じた割合が低いのは、気になるところです。
次にパワハラ防止に取り組んでいる割合をみると、医療,福祉は84.5%でした。調査結果全体では79.5%であり、全体よりも高い状況です。
パワハラ防止に取り組んでいる企業における具体的な取組内容をまとめると、表2のとおりです。
医療,福祉では「相談・苦情対応窓口を設置している」が最も高く、67.7%となりました。「就業規則・労働協約等の書面で内容及び、あってはならない旨の方針を明確化し、周知している」、「当事者等のプライバシー保護に必要な措置を講じ、周知している」も50%を超えました。
冒頭のとおり、4月からは中小企業でもパワハラ防止措置を講じることが義務化されます。措置を講じていない施設等では、ここで紹介した取組内容などを参考に、対応を進める必要があります。
(※)厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」
2021年7月に発表された、常用労働者10人以上の6,000企業を対象にした2020年10月1日時点の状況に関する調査結果です。有効回答率は55.4%です。
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