少子高齢化の進展による労働人口の減少や働き方改革の推進により、様々な働き方が行われるようになっています。ここでは今年3月に発表された調査結果(※)から、福祉施設等(以下、医療,福祉)における労働者の就業形態の変化をみていきます。
上記調査結果から、医療,福祉の事業所における3年前(2016年)と2019年の正社員数の変化をみると、表1のとおりです。
変わらないとする割合が49.5%で約半数を占めました。増えたとする割合は35.0%で、減ったとする割合の14.6%を上回りました。
では、正社員以外の労働者の状況はどうでしょうか。医療,福祉の事業所で正社員以外の労働者がいる割合は92.3%で、その事業所における正社員以外の労働者比率の変化をまとめると、表2のとおりです。
3年前と比べて変わらないとする事業所割合が64.5%で最も高くなりました。正社員の場合よりも、変わらないとする割合が10ポイント以上高い状況です。
また、今後の正社員以外の労働者比率の変化予測については、医療,福祉では、ほとんど変わらないが63.4%、上昇するが18.5%、低下するは6.3%にとどまりました。
比率が上昇した正社員以外の就業形態については、医療,福祉では、パートタイム労働者(以下、パート)が80.4%で最も高くなりました。そして、今後比率が上昇すると思われる正社員以外の就業形態をまとめると、表3のとおりです。
こちらもパートが74.8%で最も高く、次いで嘱託社員(再雇用者)が20.9%となっています。パートを活用する理由をみると、賃金の節約のためが41.1%で最も割合が高く、正社員を確保できないためが38.4%で続いています。
正職員の新規採用はもちろん、既存職員の雇用維持のために賃上げを行う福祉施設等は少なくありません。人件費の高騰や採用難に対応するための方法として、パートを採用するケースが多いのかもしれません。貴施設の状況はいかがでしょうか。
(※)厚生労働省「令和元年度就業形態の多様化に関する総合実態調査」
5人以上の常用労働者を雇用する事業所及びその事業所に就業している労働者を対象に2019年11~12月に行われた調査です。調査対象数17,278事業所、有効回答率は43.4%です。
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