医療法人は、これまでの事業報告書等とは別に、毎年、会計年度終了後3ヶ月以内(医療法第51条第2項に該当する大規模な医療法人は、4ヶ月以内)に、都道府県に病院・診療所ごとの経営情報を報告することが義務付けられています。原則、12月決算ならば3月、3月決算ならば6月が期限です。
この報告義務の制度は、2023年8月以降に決算期を迎える法人から適用されています。
厚生労働省医政局が2024年1月10日に発出した事務連絡によると、すでに報告時期を迎えている2023年8月決算の医療法人(G-MIS医療法人マスタによる)は6,458法人あり、このうち2023年12月末時点で報告を済ませたのは1,581法人でした。全体の24.5%、わずか4分の1にとどまっていることから、同省は報告の促進を呼びかけています。
また、この報告はG-MISで行うことができますが、上述の報告を済ませた1,581法人の内訳をみると、G-MISによる報告は567法人で、残りの1,014法人は郵送(書面の電子化受託事業者に送付する方法)での報告でした。
報告した内容は、個別の医療機関の情報として公表されることはありませんが、多くの方が次の2点を気にされています。厚生労働省のQ&Aに回答を得ることができますので、その要点をご案内します。
問1 報告しない場合、罰則はあるのか?
医療法人の事業報告書等の届出と異なり、この経営情報の報告そのものには、罰則は規定されていませんが、未報告の状況が改善されない場合は、都道府県知事の指導監督権限の中で、必要な措置がとられることがあります。
問2 G-MISで報告したら、スタッフに中身を見られてしまうのでは……?
G-MISの報告では、医療法人の経営情報等を報告する医療法人IDと、日次・週次報告をする医療機関IDは、別のIDとなります。ご懸念の機微な情報については、これらのIDの統合機能を使用せず、別々のIDのまま運用いただくことで解消されます。すでにIDを統合している場合は、G-MIS事務局に連絡し、統合解除を依頼してください。
なお、令和6年能登半島地震による影響を受けた地域の医療法人については、震災への対応を優先することができます。状況が落ち着いた後でご対応ください。
参考:
厚生労働省「医療法人に関する情報の調査及び分析等についての疑義照会に係る回答一覧 Q&A(2023年10月2日版)」
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