厚生労働省より、「令和3(2021)年度 国民医療費」が公表されました。
「国民医療費(※)」は、その年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用の推計で、医療保険等による給付に、公費負担や患者負担による医療費を合算したものです。
(※)国民医療費の範囲
含まれるもの:医科診療医療費、歯科診療医療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等
含まれないもの:保険診療の対象とならない費用、傷病の治療以外の費用(正常な妊娠・分娩、健康診断、予防接種等)
●全体の国民医療費
これによると、2021年度の国民医療費は45兆359億円で、前年度に比べ2兆694億円、4.8%の増加となりました。人口一人当たりは34万600円で、前年度より1万8,200円、5.3%の増加となります。
国民総生産に対する比率は2009年度以降7%台で推移していましたが、2021年度は8.18%となり、1954年度以降初めて8%を超えました。
●国民医療費の構成
制度区分別では、「医療保険等給付分」が全体の45.7%を占め20兆5,706億円、「後期高齢者医療給付分」は全体の34.9%にあたる15兆7,246億円となりました。患者負担分が5兆4,270億円(全体の12.1%)、公費負担の医療給付分が3兆3,136億円(同7.4%)となっています。
診療種類別では、下グラフの結果となりました。
●年齢階級別にみる国民医療費
年齢階級別では、65歳以上が27兆3,036億円で、全体の60.6%を占めています。0~14歳は2兆4,178億円(構成割合5.4%)です。人口一人あたり国民医療費では、65歳未満は19万8,600円、65歳以上は75万4,000円となりました。
●傷病分類別にみる国民医療費
医科診療医療費について、主傷病による傷病分類別にみると、最も多いのは「循環器系の疾患」の18.9%、次いで「新生物<腫瘍>」の14.9%となっています。その後は少し離れて「筋骨格系及び結合組織の疾患」8.0%、「損傷,中毒及びその他の外因の影響」7.7%、「腎尿路生殖器系の疾患」7.1%と続いています。
性別では、男女とも1位は「循環器系の疾患」、2位は「新生物<腫瘍>」ですが、3位は男性が「腎尿路生殖器系の疾患」、女性が「筋骨格系及び結合組織の疾患」となりました。
統計資料の詳細は、下記サイトでご確認ください。
参考:
厚生労働省「令和3(2021)年度 国民医療費の概況」
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