コロナ診療の手引に医療従事者の就業制限を追加
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引」が改訂され、第10版となりました。今回の改訂は、5類への類型変更後、初めての改訂となります。
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第10.0版」
改訂箇所は以下のとおりです。重要な改訂を赤字で示します。
1 病原体・発生状況
- 病原体(p.5)・発生状況を更新(p.6)
2 臨床像
- 臨床像(p.7)に第9.0版の胸部画像所見、合併症の内容を追加し、更新
- 重症化リスク因子(p.9)・小児例の特徴(p.11-13)・妊婦例の特徴(p.14)を更新
- COVID-19ワクチンに関する説明を追加(p.10、15-17)
3 診断・サーベイランス
- 症例定義に関する記載を削除
- 検体と採取法を説明する表を追加(p.19)
- 届出に関する記載を参考として更新(p.21)
4 重症度分類とマネジメント
- 序文、重症度分類(p.22)・高齢者の管理・小児の管理・妊産婦の管理(p.31-34)を更新
- 重症度別に記載していたマネジメントを「外来診療」「入院診療」「集中治療」にまとめなおし、内容を更新(p.24-30)
- G-MISを活用した入院調整に関する説明を参考として追加(p.35)
5 薬物療法
- 抗ウイルス薬(p.37-46)・中和抗体薬(p.47-51)・免疫抑制・調節薬(p.52-55)・妊婦に対する薬物療法(p.56)を更新
- オミクロン流行期以降に実施された臨床研究の表(p.44、45)、抗ウイルス薬の選択フロー図を追加(p.46)
- 日本国内で開発中の主な薬剤を削除し、国内外で開発が中止された主な薬剤を更新(p.55)
6 院内感染対策
- 序文(p.58)・職員の健康管理、個人防護具(p.60)・妊婦および新生児への対応(p.61)・死後のケア(p.62)を更新
- 病理解剖業務における感染対策(p.62)・医療従事者の就業制限(p.63)を追加
- 7 退院基準、解除基準(第9.0版)の内容を感染予防策を実施する期間(p.63)として更新
このうち、今回追加された「医療従事者の就業制限」は次のように記載されています。
医療従事者の就業制限
5類移行後は感染症法に基づく就業制限は行われないが、国は医療機関や高齢者福祉施設等に対して、COVID-19に罹患した従事者の就業制限を考慮するよう呼びかけている。
位置づけ変更後の新型コロナ患者の療養の考え方(発症日を0日目として5日間、かつ解熱および症状軽快から24時間経過するまでは外出を控えることが推奨される)等を参考に、罹患した者の体調や業務内容、地域の流行状況、事業継続性等を総合的に判断して、施設ごとに対応することが求められている。
【医療機関の就業制限の考え方(例)】
- 発症日(※)を0日目として5日間、かつ症状軽快から24時間以上経過(6日目に解除)(ただし、業務内容等(例:移植患者やそれに準ずるような免疫抑制患者の病床で勤務、等)を考慮して、発症日を0日目として7日間、かつ症状軽快から24時間以上経過(8日目に解除)のように個々の状況で就業制限の例外を設けている医療機関もある。)
- 家庭内に感染者が出た場合は、自己の体調管理に気をつけながら出勤
- いずれも10日目まではサージカルマスクの着用、黙食などを徹底する
(※)無症状の場合は検体採取日を0日目とする。
その他の変更点については、新版の手引きにてご確認ください。
参考:
厚生労働省事務連絡(2023年8月21日発出)
「「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第10.0版」の周知について」
【参考1】新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第10.0版
【参考2】新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第10.0版 改訂のポイント
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