サル痘の国内発生に備えた対策の進行状況
今年5月以降、欧米を中心に、サル痘の感染例や疑い事例が報告されています。6月27日のWHOの発表によると、50ヶ国・地域で計3,413例の確定例が報告されました。欧米などにおける死亡例の報告はなく、症例の多くは若年男性であると発表されています。
サル痘は、日本においては四類感染症に分類され、届け出義務の対象となっています。
出典:厚生労働省「厚生科学審議会感染症部会資料」p.7
6月29日に開催された厚生労働省の厚生科学審議会感染症部会によると、日本国内でのサル痘発生に備えて、以下の対応がすでに実施されています(カッコ内は実施日)。
- 国内対策
サーベイランス、検査・疫学調査の体制について順次、事務連絡を発出(5/20、6/1、6/17)
医師がサル痘を疑う症例(①説明困難な急性発疹、②発熱、リンパ節腫脹等、③発疹等の発症の21日以内にサル痘症例が報告されている国に滞在歴があり、滞在先で他者との濃厚接触(性的接触を含む。)があった等、①~③の全てを満たす場合)を診察した場合には、保健所に相談するよう依頼(6/1) - 水際対策
検疫所において、出入国者に対して、海外のサル痘の発生状況に関する情報提供及び注意喚起を実施(5/20) - 検査
国立感染症研究所で24時間体制で検査可能。さらに、地方衛生研究所での検査を可能とするため、病原体検査マニュアルを作成し(6/17)、検査試薬を配布(6/22) - 曝露後予防
国立国際医療研究センター(NCGM)において、患者の接触者に対し、天然痘ワクチンを投与する臨床研究体制を構築(NCGM以外は巡回健診で対応)(6/15) - 治療薬
NCGMにおいて、患者に対し、サル痘治療薬を投与する臨床研究体制を構築(6/28) - 情報提供
厚生労働省、国立感染症研究所等のホームページで、ウイルスの感染力や病原性、感染予防策等に関して情報発信
出典:厚生労働省「厚生科学審議会感染症部会資料」p.4
今後の対応として、関東周辺以外で患者が発生した場合に備えて、関東周辺以外でも治療薬の投与が可能となる研究体制についてや、接触リスクが高い医療従事者等に必要に応じて曝露前ワクチン接種についてを検討することが予定されています。
参考:
厚生労働省「第62回厚生科学審議会感染症部会資料」
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