社会福祉法人の会計監査人設置基準
社会福祉法人は、公益性・非営利性を確保し説明責任を果たすために、一定の規模を超える場合に、会計監査人の導入が義務付けられています。社会福祉法人制度改革の一環として、2017年度より実施されています。
●対象拡大の時期は、依然として検討中
現在、会計監査人の設置が義務付けられているのは、「前年度の収益が30億円超、又は、負債が60億円超の法人(※1)」です。この対象は当初、段階的に拡大予定(※2)でしたが、2019年の改正で凍結されています。
対象拡大の再開時期は未定ですが、現在も拡大の方向で検討されている向きに変わりはありません。上述のとおり「前年度」の金額で判断されますので、将来的に対象となることが想定される法人においては、心づもりが必要となってきます。厚生労働省によると、令和3年度は527の社会福祉法人が会計監査人を設置しています。うち130法人は設置義務のない任意設置でした。
- (※1)前年度の決算における法人単位事業活動計算書(第2号第1様式)の「サービス活動増減の部」の「サービス活動収益計」が30億円超の法人、又は法人単位貸借対照表(第3号第1様式)の「負債の部」の「負債の部合計」が60億円超の法人
- (※2)当初の実施要項では、2019年に「収益20億円超又は負債40億円超」、2021年で「収益10億円超又は負債20億円超」まで対象を広げる計画でした。
●実施までのスケジュール
会計監査人を設置することとなった場合のスケジュール例を、下図にまとめました。
例)令和5年度決算で会計監査人監査を初実施する場合
ご覧のように、監査の実施初年度に先立ってさまざまな手順が生じ、長い準備期間を要します。特に「収益20億円超又は負債40億円超」の法人におかれましては、今後の動向にも注視いただき、備えられますことをお勧めいたします。
参考:
厚生労働省「社会福祉法人制度」
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