令和4年度診療報酬改定/議論の中間とりまとめが出ました
来年度に予定されている診療報酬改定について、7月より、厚生労働省の中央社会保険医療協議会総会で議論が進められています。9月15日の会合で、その中間とりまとめが提示されました。ここでは、現在上がっている論点について整理したいと思います。
コロナ・感染症対応について
- 現行の特例措置の効果検証等も踏まえつつ、今後の新型コロナウイルス感染症対策のあり方について、どのように考えるか。
- 第8次医療計画に向けた検討状況も踏まえつつ、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組について、どのように考えるか。
外来について
- 中長期的に地域の医療提供体制が人口減少や高齢化等に直面する中、外来機能の明確化・連携や、かかりつけ医機能の強化等を推進し、患者にとって安心・安全で質の高い外来医療の提供を実現するための、診療報酬の在り方について、どのように考えるか。
- オンライン診療を安全性・信頼性を確保しながら推進していく観点から、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しを踏まえ、診療報酬上の取扱いも含めて実施に向けた取組を進めることとなるが、その際に考慮することとされている対面診療との関係等について、どのように考えるか。
在宅について
- 今後、在宅医療の需要が大幅に増加することが見込まれる中、在宅医療を担う医療機関と市町村・医師会との連携、及び、医療・介護の切れ目のない提供体制の構築等を推進し、質の高い在宅医療を十分な量提供できるようにするため、診療報酬の在り方について、どのように考えるか。
- 訪問看護に係る診療報酬上の評価について、令和2年度改定における見直し・評価の考え方を踏まえ、質の高い訪問看護の適切な評価を推進しつつ、地域包括ケアを推進する役割を果たしていくため、どのように考えるか。
- 患者のニーズにあわせた歯科訪問診療を推進するために、近年における診療報酬改定の内容を踏まえ、どのような対応が考えられるか。
- 今後、在宅医療の需要が大幅に増加することが見込まれる中、薬物療法に関わる関係者が、患者の服薬状況等の情報を共有しながら、最適な薬学的管理やそれに基づく指導を実施し、在宅患者が有効で安全な薬物療法を切れ目なく継続的に受けられるようにするための診療報酬の在り方について、どのように考えるか。
入院について
- 人口減少・高齢化が着実に進み、医療ニーズの質・量が徐々に変化し、マンパワーの制約も一層厳しくなる中、個々の患者の状態に応じて、適切に医療資源が投入され、より効果的・効率的に質の高い入院医療が提供されるよう、医療機能の分化・連携の促進を推進する入院医療の提供体制の評価のあり方について、どのように考えるか。
歯科について
- 地域包括ケアシステムを推進する観点から、かかりつけ歯科医に求められる機能や医科歯科連携等の他職種連携を推進するために、どのような対応が考えられるか。
- 歯科外来診療における感染防止策等について、どのように考えるか。
- 口腔疾患の重症化予防や口腔機能の管理を推進する観点から、どのような対応が考えられるか。
- 歯科固有の技術の評価について、引き続き生活の質に配慮した歯科医療の提供等を推進する観点から、どのような対応が考えられるか。
調剤について
- 薬局・薬剤師が、対物中心の業務から、患者・住民との関わりの度合いの高い対人業務へとシフトすることにより、薬物療法や健康維持・増進の支援に一層関わり、患者・住民を支えていくことが重要であることを踏まえ、診療報酬のあり方について、どのように考えるか。
- かかりつけ薬剤師・薬局の普及の促進、多剤・重複投薬への取組、処方箋の反復利用など、「経済財政運営と改革の基本方針2021」等を踏まえた今後の対応について、どのように考えるか。
- オンライン服薬指導については、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に際しての時限的措置の実績を踏まえ、医薬品医療機器等法に基づくルールの見直しが行われることを踏まえ、診療報酬について、具体的に、どのような検討が必要か。
個別事項について
- 今般の改正医療法において長時間労働の医師の労働時間短縮のための措置等が整備されたことなど、これまでの医師をはじめとした医療従事者の働き方改革の取組や、これまでの診療報酬上の対応を踏まえ、働き方改革の推進に対する診療報酬の在り方について、どのように考えるか。
- 不妊治療について、診療報酬改定においては、有効性・安全性等が確認できた医療技術等については、保険適用としてきたことを踏まえ、不妊治療についても同様に、関係学会の作成したガイドライン等に基づいて有効性・安全性等の確認を進めることとしてはどうか。なお、医薬品等については、有効性・安全性等の確認、薬機法上の承認の可否等について、薬事・食品衛生審議会、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において検討が行われる。さらに、現時点において有効性・安全性等が確認できないものの、今後、保険適用を目指すものについては、先進医療等の保険外併用療養費制度の活用が考えられる。その際、令和4年度診療報酬改定において適切に対応を実施する観点から、保険医療機関から先進医療に係る申請があった場合には、申請を受理した上で先進医療会議において、まずは、技術的な審議を進めておくことができることとしてはどうか。なお、先進医療として実施することの決定は、保険適用の範囲に係る議論を踏まえる必要があることから、令和4年度診療報酬改定と併せて行うこととしてはどうか。有効性・安全性等の確認をより的確に実施する観点から、中医協総会において関係学会等からヒアリングを行うことについて、どのように考えるか。
- 医薬品の適切な使用の推進について、これまでの診療報酬上の対応なども踏まえ、どのように考えるか。昨今の後発医薬品の品質や安定供給に係る問題も踏まえつつ、新目標との関係を踏まえた後発医薬品調剤体制加算等の見直しの検討など、「経済財政運営と改革の基本方針2021」や「成長戦略実行計画2021」を踏まえた今後の対応について、どのように考えるか。
- 歯科用貴金属材料の基準材料価格改定についてどのように考えるか。
今後は、上記で整理した論点を中心に、小委員会や専門部会も含め、更なる議論が進められる予定です。中間とりまとめでは、上記の各論点について、背景やこれまでの意見などもまとめられています。全容は、以下のサイトでご確認ください。
■厚生労働省 第488回中央社会保険医療協議会総会資料
「令和4年度診療報酬改定に係る議論の中間とりまとめについて」
参考:
厚生労働省「中央社会保険医療協議会総会(第488回)」
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