どうなる? 令和3年度介護報酬改定
感染症への不安が色濃く残る中、4月に施行される介護報酬改定は0.70%のプラス改定に落ち着きました。今改定では、人材不足や自立支援強化等の従来の視点に加え、感染症や災害への対応力強化も重視されています。
まず、改定率の決定に併せ、新型コロナウイルス感染症への対応に配慮し、令和3年4月から令和3年9月末までの半年間、特例的な評価として0.05%が上乗せされることも合意されました。
更に今回の改定では、昨今の感染症や大規模災害等の経験から、緊急時でも必要なサービス提供が途切れることなく継続できる対応力の強化が、新たな柱として加わりました。
【感染症対策と事業継続の取組みを義務化】
3年間の経過措置が設けられた上で、次の2つが義務づけられます。
- ① 感染症対策の強化
委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーションの実施)等 - ② 業務継続に向けた取組の強化
感染症や災害発生時に必要な介護サービスが継続的に提供できる体制のための、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施
【通所介護等の報酬の見直し】
感染症等で利用者減となった場合の通所介護等の報酬について、次の見直しが行われます。
- ①事業所規模別の報酬区分の決定にあたって、より小さい規模区分がある大規模型について、前年度の平均延べ利用者数ではなく、感染症や災害の影響により延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることを可能に。
- ②通所介護等について、感染症や災害の影響により延べ利用者数の減が生じた月の実績が前年度の平均延べ利用者数から一定割合以上減少している場合、一定期間、臨時的な利用者の減少による利用者一人あたりの経費の増加に対応するための評価を行う。
昨年6月以来、新型コロナウイルス感染拡大の深刻な影響を受けた通所介護サービス事業者に対し、毎月一定回数まで2区分上位の報酬を算定することを認めた特例が設けられ、半数以上の事業所の利用がありましたが、上記の改定に伴い、これが廃止される見込みです。今後の発表にも引き続きご注目ください。
参考:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」
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