今回は、半日単位の年次有給休暇を導入しようとしている医院からのご相談です。
当院の職員から、子どもの学校行事への参加や通院など、プライベートの事情に合わせて年次有給休暇を取得したいという希望が出ています。
そこで、半日単位で年次有給休暇を取れるようにしたいと考えています。どのようなことに気をつけるとよいでしょうか?
労働基準法では、年次有給休暇(以下、年休)は1日単位で付与することが原則とされています。
その上で、就業規則などで医院がルールを定めることで、年休を半日単位(以下、半休)で付与することができるとしています。その際、半休の区切りをどうするかなどの検討が必要です。
年休とは、心身の疲労を回復させ、リフレッシュするための休暇です。そのため、1日(午前0時からの24時間)単位での付与が原則ですが、就業規則などで医院がルールを定めることで、半休の制度を導入することが認められています。
なお、半休を導入することは医院の任意であり、義務ではありません。
半休を導入する上で、半日の単位(区切り方)を検討する必要があります。
1日単位の年休が午前0時からの24時間であることを踏まえ、その半分である正午を区切りにすることが基本的な考え方ですが、以下のような合理的な区切り方も考えられます。
- ① 1日の所定労働時間を2等分した時刻を区切りとする
- ② 昼休憩の時刻を区切りとする
午前の診療時間が9時から12時までの3時間、午後の診療時間が13時から18時までの5時間というように午前・午後と分かれている医院が多いことを考えると、選択肢②は職員にとって分かりやすく、運用や管理もしやすいかもしれません。
ただし、午前休を取得するか、午後休を取得するかによって働く時間数が異なるため、職員の間での不公平感が出やすくなります。
診療が午前のみの日に年休を取得する場合、1日単位とすることが原則です。
この場合、「せっかく休むのであれば、所定労働時間が長い日に取得しよう」という思いを持つ職員がいることから、診療時間が短いことを踏まえて、その日に年休を取得する場合は半休として取り扱うことも考えられます。
半休を導入することで、職員が個々の事情に応じて柔軟かつ有効に年休を活用することができ、働きやすさにつながります。管理のしやすさや不公平感が出づらい制度の導入が重要となります。
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