人事労務Q&A ~試用期間の位置づけと延長~ 

文書作成日:2023/02/28

今回は、本採用にするか否かを見極めるために試用期間を延長したい医院からの相談です。

当院では、入職して2ヶ月近く経つ正職員がいますが、ミスや患者からのクレームが多く、周囲の職員も対応に追われて疲弊している様子です。当初から3ヶ月の試用期間を設けて様子を見ていますが、もう少し指導を行った上で本採用にするか否かを見極めたいと考えています。試用期間の延長はできますか?

試用期間の延長は、あらかじめ就業規則上に延長の可能性や延長する期間が明示されており、合理的な理由があれば可能であるとされています。試用期間を延長する場合は、本人に延長することを伝えなければなりません。

1.試用期間とは

 試用期間とは、医院が、採用した職員の勤務態度や能力、仕事への適性を見極めて、本採用にするか否かを判断するための期間のことをいいます。労働契約を解消できる「解約権留保付き」の労働契約が締結されている期間とされ、業務遂行上の問題があり、指導・注意を行っても改善しない場合には、試用期間中または試用期間満了で労働契約の終了(解約権の行使)を検討することになります。

 この解約権の行使は解雇に該当します。試用期間中または試用期間満了時の解雇は、通常の解雇よりも緩やかに判断されるといわれますが、自由にできるということではなく、合理的かつ社会通念上相当な理由が必要です。

2.試用期間の延長

 職員の適性等を試用期間で判断することが難しい場合、試用期間を延長することが考えられます。この場合、あらかじめ就業規則に延長の定めが必要です。また、試用期間中は、職員が不安定な地位に置かれることになるため、合理的な範囲を超えて長期間に及ぶことは認められません。一般的には3~6ヶ月程度が妥当な期間と考えられているため、今回のケースでは、延長の期間が3ヶ月程度であれば、公序良俗に反するとまではいえないでしょう。

 なお、試用期間の延長を行うには、試用期間満了までに本人への告知が必要なため、実務上、遅くとも試用期間満了の1週間前までには、本人と面談の上、延長することを伝えるべきでしょう。

実際には、試用期間を就業規則や労働契約書に定めている一方で、本採用の判断基準が曖昧な医院も多く見られます。本採用の判断基準を確認し、新規採用者に改善点や能力不足の点があれば注意や指導、定期的な面談を行うなど、戦力化に向けたフォローも重要です。

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