今回は、労働基準監督署が行う一般的な調査についての相談です。
労働基準監督署から、労働条件に関する調査の実施について書面が届きました。当院では、書面に記載されている準備書類である36協定届などを毎年届出していて、労働基準法を遵守していると認識していますが、どのような「調査」が行われるのでしょうか?
今回の労働基準監督署の調査は、「定期監督」と呼ばれるものと思われます。対象事業所を無作為に抽出し、就業規則や36協定などの書類を確認し、法令違反の事実がないかをチェックします。そこで問題が発見されなければ、調査は終了となります。万が一、法令違反が見つかった場合は、行政指導の対象となり、勧告・指導され是正することが求められます。
1.労働基準監督署が実施する調査
労働基準監督署(以下、労基署)は、事業所が労働基準法や労働安全衛生法などの法律に則った運用をしているかどうかを確認するため、事業所への調査(臨検監督)を行っています。今回はこの調査の一つで、「定期監督」による調査だと思われます。
この調査は、厚生労働省の方針に基づいて作成される各都道府県の労基署の年間計画に基づき実施され、調査の対象事業所が任意で決定されます。今回のように、書面で調査のお知らせが届き事業主などが直接労基署へ出向く場合のほか、監督官が予告なしで事業所を訪れて調査を実施することもあります。
2.調査方法と指導
調査は、持参することが求められる書類を元に、法令違反がないかの確認により行われます。例えば、労働時間については、36協定届が毎年届出されているか、タイムカードを元に36協定で締結した限度時間を超えるような時間外労働が発生していないかなどの確認が行われます。そこで法令違反やその疑いが見つかった場合は、故意であるか否かにかかわらず、是正勧告や指導が行われ、医院は是正や改善を実施し、報告を行うことが求められます。
特に法令違反がない場合は、指導事項なしとして終了しますが、是正勧告や指導が行われたときには、原則として、指定される期日までに是正や改善をしなければなりません。万が一、法令違反として認められた事項を指定された期日を超えて放置した場合は、送検や起訴の対象となることもあります。
日頃から労務管理に関する法令遵守の意識や整備を徹底しておくことはもちろん、調査にも真摯に対応するようにしましょう。
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