今回は、社会保険の加入要件についての相談です。
職員数55人の医院です。雇用契約書で週の所定労働時間を25時間と定めているパート職員がいますが、人手が不足しているため、契約の労働時間や労働日数より多めにシフトに入ってもらっています。週5日、週30時間程度になりますが、社会保険について配偶者の扶養のままとしておいて大丈夫でしょうか?
現状の職員数を前提とすれば、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が正職員の4分の3以上のパート職員については、社会保険に加入させなければなりません。加入は、雇用契約書等で定める所定労働時間および所定労働日数により判断しますが、今回のように、実態として加入要件を満たす状況が長く続くときについても、社会保険に加入させなければなりません。
1.社会保険の加入要件
現状では、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が正職員の4分の3以上であるパート職員は、社会保険の被保険者となります。この判断は、原則として就業規則や雇用契約書等で定めた所定労働時間および所定労働日数をもとに行います。
今回のように、雇用契約書では社会保険の加入要件を満たさないパート職員が、業務の都合等により加入要件を2ヶ月以上連続して超えた場合で、引き続き同様の状態が続いているまたは続くことが見込まれるときは、加入要件を満たした月の3ヶ月目の初日に社会保険に加入しなければなりません。
2.パート職員等の社会保険加入要件の変更
法律改正に伴い、2022年10月1日から職員数101人以上の医院では、次の4つのすべての要件を満たすパート職員については、社会保険の被保険者となります。
- ① 週の所定労働時間が20時間以上
- ② 雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれること
- ③ 月額賃金が8.8万円以上
- ④ 学生ではないこと
さらに、2024年10月からは、職員数51人以上の医院も、現状の要件(1.の加入要件)からこの要件へ変わります。
なお、社会保険の加入対象となる職員数101人以上または51人以上の基準は、厚生年金保険の被保険者数(原則として、正職員数と、週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が4分の3以上であるパート職員数の合計)で判断します。
年収130万円未満であることが社会保険の被扶養者となる要件の一つですが、この範囲内のパート職員でも社会保険の加入要件を満たしていれば、被扶養者から外れ自身で社会保険に加入しなければなりません。パート職員が被扶養者としての勤務を希望している場合は、労働時間や労働日数について、本人と話し合っておきましょう。
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