今回は、入職してすぐの産休・育休取得についての相談です。
入職して1ヶ月に満たない正職員が妊娠4ヶ月と判明しました。本人は産休と育休を取りたいと言っていますが、希望どおり認めなければいけないのでしょうか?
職員から産前産後休業(産休)・育児休業(育休)の申し出があれば、医院は、原則として、その取得を認める必要があります。ただし、労使協定を締結することで、勤続1年未満の職員の育児休業の申し出を拒むことができます。
(※以下では、今回の正職員の取扱いをとり上げます。)
1.妊娠・育児に係る休業制度
職員が妊娠した場合、出産予定日前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、出産後8週間、産休を取得できます。出産前は職員の請求により休業を与えることになり、出産後は、原則、就業させることはできません。また、1歳に達する日までの子どもを養育する職員は、医院に申し出をすることで育休を取得することができ、子どもが保育園に入園できないなど一定要件を満たす場合、最長で子どもが2歳に達するまで育休を延長することができます。
2.育休を取得できる人の例外
育休は、原則としてすべての正職員が申し出可能ですが、医院は労使協定を締結することにより、次に該当する職員からの申し出を拒むことができます。
- ①入職1年未満の職員
- ②申し出の日から1年以内に雇用期間が終了する職員
- ③1週間の所定労働日数が2日以下の職員
今回の職員は、産休が終了する時点では、入職9ヶ月となるため①に該当し、労使協定を締結している場合には、その育休の申し出を拒むことができます。そのため、産休終了後は育休を取得せずに復帰することとなります。
なお、①の判断は、育休の申し出の時点で行うため、産休から復帰後の入職1年に達した時点で、改めて育休の申し出をすることができます。育休を取得する際は、育休開始予定日の1ヶ月前までに申し出ることになっていることから、実際の育休の取得開始は入職後1年1ヶ月以降となります。
そもそも、育休は企業規模に関わらず、法律で定められているため、就業規則等に定めがなくても、職員が申し出た場合には取得できます。今回のケースのように、労使協定を締結することにより申し出を拒む職員を定めることもできるため、この機会に就業規則等の定めが適切にされているか、また、労使協定を締結するかを確認しましょう。
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。