今回は、生理休暇の申請があった際の対応についての相談です。
女性職員から、生理で体調が優れず休みたいと、生理休暇の請求がありました。今回は休暇を認めましたが、当院では事前にシフトで人員配置を決めているので、できる限り出勤してもらいたいと考えています。生理日でも出勤をさせたり、休みの日数に制限を設けたりすることはできますか?
女性職員から生理休暇の請求があった場合、医院は、請求された期間に就業させることはできません。また、生理休暇の取得日数も制限することはできないため、医院は、女性職員から請求のあった日数の休暇を認める必要があります。
1.生理休暇とは
女性職員が、生理日に下腹痛、腰痛、頭痛等で著しく体調を崩し、仕事をすることが困難な状態にある場合で、本人から休暇の請求があったときは、医院は請求した女性職員を働かせることはできません(労働基準法第68条)。また、生理は期間や症状・体調不良の程度に個人差があり、基準を設けることができないことから、医院が就業規則などで休暇日数の制限を設けることもできません。
さらに、1日単位での取得だけでなく、半日や時間単位での生理休暇の請求が女性職員からあった場合、医院はその休暇の請求に応じる必要があります。具体的には、「痛み止めを飲んで時間が経てば症状が落ち着くので午前だけ休みたい」、「急に生理が来て体調が悪くなってきたので早退したい」といった請求が考えられます。
なお、生理休暇の時間に対して給与を支払う義務はないため、有給とするか無給とするかを就業規則で定めておく必要があります。
2.生理休暇の申請があった場合の証明
生理休暇は、その性質上事前に申請することが難しいため、当日申請するケースが多くみられます。その際、女性職員に対し、「生理によって就業が著しく困難であったこと」の証明として医師の診断書などを提出させることはできず、証明を必要とする場合であっても、対象の女性職員の上司や同僚の証言程度の簡単な証明で足りるとされています。
近年、働き続ける女性が増えていますが、女性職員がいる事業所のうち、生理休暇の請求があった事業所の割合は3.3%、生理休暇を請求した女性職員の割合は0.9%です(厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」)。生理休暇を請求しづらいといった女性職員の声もありますが、体調不良であるにもかかわらず無理をすることで、業務の能率が低くなりミスが生じることも想定されます。生理休暇の法的な位置づけを確認し、適切な運用を考えることも、職員の能率低下やミス防止の対策として重要でしょう。
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