今回は、労働基準監督署の調査が行われることとなった場合の対応についての相談です。
同業者から、突然、労働基準監督署(以下、「労基署」という)の労働基準監督官が訪ねてきて調査が行われ、対応に苦慮したという話を聞きました。労働基準監督官は、事前の連絡なく、訪問してくるものなのでしょうか? また、どのような点を調査されるのでしょうか?
労基署の調査には、定期的に行われるものと労働者等からの申告により行われるものとがあり、調査は原則として予告することなく実施されます。そのため、突然、労働基準監督官が訪ねてくることもあります。調査では、労働基準法など労働基準関係法令の遵守状況の確認が行われます。
1.労基署の調査の内容
労基署の調査は、事業主が労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法等の労働基準関係法令の遵守状況を確認することが目的であり、労働基準監督官が事業場を訪問するパターン(臨検(りんけん)監督)と事業主が労基署に出向くパターンがあります。
その内容としては、対象となる事業主を無作為に抽出し、その年度の重点課題を対象とする定期監督と、労働者やその家族等から法令違反等の申告を受けて行われる申告監督とがあります。調査の結果、労働基準関係法令に違反が見つかると、事業主に対して是正するように指導等が行われます。調査の流れとしては下図のようになります。
2.調査が行われる書類等
定期監督において、一般的に必要とされる資料は以下のものになります。
- 労働者名簿
- 就業規則
- 出勤簿、タイムカード、時間外・休日労働の記録
- 賃金台帳
- 時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)
- 年次有給休暇管理簿
- 定期健康診断結果個人票
- 衛生管理者の選任などの状況がわかる資料
(事業場の労働者数が50人以上の場合)
これらの資料に関して法律上の不備がないかどうかを確認するだけでなく、36協定届で届け出ている時間外労働の時間数を超える長時間労働が発生していないか、労働時間が適正に把握されているか等の確認が行われます。
事業主は、業務を運営する上で、労働基準関係法令を遵守することが求められています。そのため、労務管理上の問題点がないか定期的に確認して、問題があるときには早めに改善しておく必要があります。
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