長期化するコロナ禍において、人材確保が難しい医療機関等もあるでしょう。ここでは、2021年11月に発表された調査結果(※)から、医療機関等(以下、医療,福祉)における転職者採用の現状をみていきます。
調査結果から、転職者の採用で重視した事項をまとめると、表1のとおりです。
医療,福祉では人員構成の歪みの是正が47.1%、既存事業の拡大・強化が38.8%などとなりました。調査結果全体と比較すると、人員構成の歪みの是正と組織の活性化の割合が高くなっています。
次に採用の際の問題点をまとめると、表2のとおりです。
必要な職種に応募してくる人が少ないことが78.7%で、全体よりも10ポイントほど高い割合になりました。必要な職種に応募してくる人が少ないことから、思うような採用ができていない現状がうかがえます。
今後3年間に転職者を採用する予定については、医療,福祉では55.2%が採用する予定があると回答しています。採用の希望についてまとめると、表3のとおりです。
採用する人材について、医療,福祉では転職者を優先して採用したい割合が40.9%と、新規学卒者を優先して採用したいよりも高くなりました。ただし、どちらとも言えないが45.6%で、採用という観点では転職者にこだわらないところも少なくないようです。
せっかく採用した人材に長く勤務してもらうためには、採用時の処遇やその後の教育訓練も重要です。採用はもちろん、定着がうまくいかない医療機関では、こうした点も見直す必要があるかもしれません。
(※)厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」
2020年(令和2年)10月1日時点の状況に関する調査です。全国17,218事業所とそこに就業している一般労働者の転職者を対象に実施しました。表の数字は、四捨五入の関係で100にならない場合があります。
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