新年度の賃金改定の参考資料として、2021年11月に発表された調査結果(※)などから、医療機関等の賃金改定に関するデータをみていきます。
上記調査結果から、医療機関等(以下、医療,福祉)における1人平均賃金の改定状況をまとめると、表1のとおりです。
医療,福祉では、2021年の1人平均賃金を引き上げた又は引き上げる(以下、引き上げ)割合が86.9%となりました。2020年より3.2ポイントの増加です。回答企業全体よりも高い状況です。改定を実施しない割合は4.8%、未定は8.3%で、いずれも2020年より減少しています。なお、引き下げた又は引き下げる(以下、引き下げ)割合はありませんでした。
次に、前記および過去の調査結果から、医療,福祉の1人平均賃金の改定額と改定率の推移をまとめると、表2のとおりです。
2021年の改定額は2,855円でした。2年連続で減少し、3,000円を下回りました。直近の10年間では初めてです。改定率は1.5%で2020年と同じですが、やはり直近の10年では2012年、2013年とも並んで最も低い状況です。全体の改定額は4,694円、改定率は1.6%で、それと比べても低くなりました。
2021年の医療,福祉の賃金改定状況は、引き下げ割合がなく、引き上げ割合は前年より増加したものの、改定額は直近10年では最も低くなりました。コロナ禍でも賃上げを行った医療機関等は増えたものの、その額については、前年以前の水準にすることが難しかったといえそうです。2022年はどうなるでしょうか。
(※)厚生労働省「令和3年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」
一定の産業に属する会社組織の民営企業を調査対象に、産業・企業規模別に抽出した3,597社を調査客体として2021年7月~8月に行われた調査です。ここで紹介したデータは、常用労働者100人以上の企業(調査客体企業数は3,263社、有効回答企業数は1,708社)について集計したものです。数値は四捨五入の関係で100にならない場合があります。
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