今年7月に厚生労働省から、最低賃金改定の参考資料として、「令和3年賃金改定状況調査結果」(※)が発表されました。ここではこの結果から、医療機関等(以下、医療,福祉)の今年の賃金改定状況をみていきます。
上記調査結果から、医療,福祉の賃金改定状況をまとめると、表1のとおりです。
2021年の1~6月に賃金引上げを実施した事業所(以下、賃上げ実施事業所)の割合は59.8%で、2020年に比べ3.1ポイント上昇しました。全体の結果である産業計と比べると、23.5ポイントも高い状況です。
同じく1~6月に賃金引下げを実施した事業所(以下、賃下げ実施事業所)の割合は0.8%でした。2020年より1.0ポイント低下し、産業計よりも低い水準となりました。
なお、7月以降も賃金改定を実施しない事業所の割合は28.5%で、2020年より0.7ポイント上昇しました。ただし、産業計より20ポイント程度低い水準です。
また、7月以降に賃金改定を実施する予定の事業所の割合が10.8%あることから、医療,福祉の賃上げ実施事業所割合は、70%近くになるものと思われます。
医療,福祉の賃金改定率をまとめると、表2のとおりです。
2021年の医療,福祉の賃上げ実施事業所の平均賃金改定率は2.8%で、2020年から0.4ポイント上昇しました。ただし2年とも、産業計よりも若干低い水準となっています。
一方、賃下げ実施事業所の改定率はマイナス23.9%で、2020年より10ポイント以上低下しました。産業計と比べても、10ポイント程度低くなっています。
医療,福祉の2021年の1時間当たりの賃金額は、一般労働者が1,436円(上昇率1.2%)、パート労働者が1,265円(上昇率0.3%)でした。
医療,福祉の事業所はコロナ禍においても、賃上げ実施事業所の割合が産業計よりも高い水準にあることがわかりました。貴院の状況はいかがでしょうか。
(※)厚生労働省「令和3年賃金改定状況調査結果」
令和3年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会の資料として公表された、一定の基準で抽出した全国の事業所規模30人未満の15,641事業所を対象にした調査(回収率は31.9%)です。表のデータは四捨五入の関係で合計が100にならない場合があります。なお、1時間当たりの賃金額は「賃金改定状況調査結果の訂正について」によります。
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