コロナ回復後の患者受入れに対する支援・留意事項を整理
医療体制がひっ迫する中、新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者の受け入れ先が課題となっています。
受け入れ先となる後方支援医療機関を確保するため、現在、診療報酬上の臨時的な取扱いや支援策等が実施されています。5月11日に厚生労働省より発出された事務連絡に、その支援策及び留意事項が整理されていましたので、今回はその内容に注目したいと思います。
ここでは、同事務連絡より、後方支援医療機関に対する支援措置の概要をご紹介します。
後方支援医療機関に関する支援措置
1.診療報酬上の臨時的な取扱い
- 新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関において、必要な感染予防策を講じた上で入院診療を行った場合は、二類感染症患者入院診療加算の3倍(750点/日)を算定できる。
- 新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関において、救急医療管理加算(950点/日)を最大90日間算定できる。
- 新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関において、個室で、必要な感染予防策を講じた上で入院診療を行った場合は、二類感染症患者療養環境特別加算の個室加算(300点/日)を最大90日間算定できる。
2.令和3年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金
- 院内等での感染拡大を防ぎながら必要な医療を提供するための診療体制確保等に要する費用が補助対象。新型コロナウイルス感染症から回復した患者の受入れに当たって必要となる個人防護具の購入費等も補助対象となる。
- ※令和2年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金による補助を受けた医療機関は、原則として、令和3年度の同補助金では対象外。
3.オーバーベッドの特例
- 新型コロナウイルス感染症の退院基準を満たしたが、引き続き入院が必要な状態の患者について、当該患者の転院を受け入れている医療機関においては、当該患者について、緊急時の対応として、病室に定員を超過して入院させたり、病室以外の場所に入院させたりして差し支えない。
- 診療報酬においても、緊急事態宣言の出されている期間については、その対象の区域にかかわらず、全ての保険医療機関について、「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の定員数の基準並びに入院基本料の算定方法について」(平成18年3月23日保医発0323003号)の第1の2の減額措置は適用しない。
4.院内感染によりクラスターが発生した場合の支援
- クラスター発生時における空床や休止病床について、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるためのものでなくても、都道府県が認めた期間に限り重点医療機関に指定されたものとみなして、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を活用して、重点医療機関の空床確保の補助対象とすることが可能。
同事務連絡は、他にも「後方支援医療機関への転院支援」「新型コロナウイルス感染症患者の退院基準」について整理しています。以下のリンク先にて全文をご覧いただけます。
■厚生労働省 事務連絡(令和2年5月11日発出)「新型コロナウイルス感染症から回復した患者の転院を受け入れる後方支援医療機関の確保について」PDF
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