来年度の診療報酬改定は、6年に1度の介護報酬改定等との同時改定です。
医療介護総合確保方針の節目の年でもあり、ポスト2025年、そして高齢者人口がピークを迎える2040年を視野に入れた重要な改定となります。
キーワード① 医療と介護の連携
同時改定のため、医療と介護の連携に力点が置かれ、高齢者施設における医療や認知症、訪問看護など、介護と密接なテーマが積極的に議論されています。「治す医療」「支える介護」という分担はあるものの、「生活への配慮」の視点が医療でもより重要視されており、「生活の質」「自分らしい生活」などの表現が頻繁に登場しています。かかりつけ医機能や在宅医療などの取組を通して、各医療機関が地域のニーズにあう役割を担えるよう、評価方法が検討されています。
キーワード② 医師の働き方改革
2024年4月に始まる医師の働き方改革が、地方病院への医師派遣等にどう影響してくるのかも、重大な懸念材料です。過去の改定でも、地域医療体制確保加算の創設や施設基準の見直しが行われています。これらの効果や補助金とのすみ分けも含め、今後の評価のあり方が論点となっています。
キーワード③ 医療DX
電子処方箋やサイバーセキュリティ攻撃への対応、医療従事者の勤務環境改善における評価等が議論されています。
なお、ソフトウェア改修の期間に配慮し、2024年度の診療報酬改定は通常より2ヶ月遅い6月1日施行となる見込みです。薬価改定は従来どおり4月1日の施行となります。これにより、患者の自己負担額も、4月と6月の計2回変わることになります。受付での説明や掲示など、周知の準備も必要となるでしょう。
年末までに基本方針や改定率が示され、例年どおりですと、2月上旬の答申で個別項目の点数表が明らかになります。自院の医療サービスの提供体制をどう構築していくか、時代のニーズを俯瞰した長いビジョンで捉え各施設基準に対応していくことが鍵となります。
診療報酬改定は、厚生労働省の中央社会保険医療協議会で検討されています。以下のサイトで経過をご確認ください。
参考:
厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会」
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