インボイス制度、医療機関や福祉施設への影響は?
10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まります。消費税の制度のため、一般的に医療機関への影響は小さいといわれていますが、押さえておきたいポイントが2つあります。
インボイスとは、消費税を支払った取引に係る領収書や請求書等で、消費税にまつわる必要事項が記載された文書のことです。押さえておきたいのは次の2点です。
- ①消費税が課税される売上は、インボイスの発行を求められる場合があります。
- ②消費税の課税事業者(本則課税方式による)は、仕入税額控除の適用に、原則としてインボイスの保存が求められます。
①については、簡易課税方式を適用している課税事業者や、消費税を納めていない免税事業者にも影響が及びます。①について、さらに詳しくみていきましょう。
消費税が課税される売上のうち、相手先が課税事業者(本則課税方式による)であるものは、今後、インボイスの発行を求められることが想定されます。例えば、次のような売上にご注目ください。
- 企業から請け負った、社員の健康診断や予防接種、業務上必要な検査など
- 企業の産業医や顧問として、医療法人が受け取る報酬
- 就労支援事業などによる請負や販売のうち、企業に対する売上
- 企業向けの物販や不動産賃貸などによる収入
インボイスは自由に発行できません。発行できるのは、発行事業者に登録した事業者だけです。そしてこの登録は、消費税の課税事業者しか行うことができません。つまり、免税事業者(消費税を納めていない)の場合、インボイスを発行するために課税事業者になるかどうかの判断が求められます。課税事業者になると、消費税の納税負担や事務処理負担が生じますので、慎重な判断が必要です。
なお、免税事業者が発行事業者に登録する場合には、負担を軽減する期間限定の特例や、補助金の上限額の上乗せといった優遇措置も活用いただけます。
最新情報は、国税庁の「消費税インボイス制度特設サイト」でご確認ください。
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