ここでは、今年7月に発表された調査結果(※)から、2022年の医療機関等(以下、医療,福祉)の賃金改定状況をみていきます。
調査結果から、各都道府県を4つにランク分けした医療,福祉の賃金改定状況をまとめると表1のとおりです。
医療,福祉全体(計)の状況をみると、1~6月に賃金引上げを実施した事業所(以下、賃上げ事業所)割合は63.2%でした。7月以降も賃金改定を実施しない事業所が25.8%、7月以降に賃金改定を実施する予定の事業所が10.3%などとなりました。
医療,福祉では、賃上げ実施事業所割合が6割以上を占めましたが、調査全体の結果である産業計は36.9%で、医療,福祉の方が26.3ポイントも高い状況です。また医療,福祉は、調査対象産業の中で賃上げ事業所割合が最も高くなりました。
次に賃上げ事業所におけるランク別の平均賃金改定率を産業計と比べると、表2のとおりです。
医療,福祉の計は3.1%で、前年より0.3ポイント増加しています。最も平均改定率が高いのはAとCランクで、3.2%となりました。全体的に産業計より低い状況です。
最後に、医療,福祉の労働者の1時間当たり賃金額をまとめると表3のとおりです。
2022年6月の一般労働者の計は1,531円で前年同月より35円の増加です。パートタイム労働者は1,319円でこちらは21円の増加です。一般労働者、パートタイム労働者ともに、すべてのランクで増加しています。
貴院所在地のランクの数値と、比較されてはいかがでしょうか。
(※)厚生労働省「令和4年賃金改定状況調査結果」
常用労働者数が30人未満の企業に属する民営事業所から抽出した15,861事業所を対象にした調査です。ランクの内訳は次のとおりです。Aは埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪。Bは茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島。Cは北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡。Dは青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄です。
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