オンライン資格確認導入の原則義務化に対する議論
オンライン資格確認は現在、来年4月から義務化される方向で推進されています。
最近の議論の流れを少し追ってみたいと思います。
まず、今年5月の厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会で、「更なる対策」として以下が示されました。
- ①令和5年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入について原則として義務化する。
- ②医療機関・薬局でのシステム導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する財政措置を見直す(診療報酬上の加算の取扱については、中医協で検討)。
- ③令和6年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指す。
さらに、上記以外で保険証を利用している機関(訪問看護、柔整あはき等)のオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止(※)を目指す。 - (※)加入者から申請があれば保険証は交付される
そして6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」、いわゆる骨太の方針の中に、以下の文言が盛り込まれました。
オンライン資格確認について、保険医療機関・薬局に、2023年4月から導入を原則として義務付けるとともに、導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する支援等の措置を見直す。
2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す。
これを受け、現在、厚生労働省の中央社会保険医療協議会において、診療報酬上の加算の取扱いについて議論が行われています。
8月3日に開催された同協議会総会の中で、厚生労働省より、「医療DXの基盤となるオンライン資格確認導入の原則義務化に関する考え方」が提示されています。
- オンライン資格確認は、患者の医療情報を有効に活用して、安心・安全でより良い医療を提供していくための医療DXの基盤となるものであり、保険医療機関・薬局に、令和5年4月から導入を原則として義務づける(療養担当規則等)。
- 一方で、診療報酬の請求については、電子請求(オンラインでの請求又は光ディスクでの請求)が義務付けられているが、①手書きでレセプトを作成している医療機関・薬局や②電子請求の義務化時点で65歳以上の医師等(※)の医療機関・薬局については、当該義務の例外として紙レセプトでの請求が認められている。
(※)現時点で75歳以上程度
⇒現在、全医療機関・薬局のうち約66%はオンラインでの請求、約30%は光ディスクでの請求、約4%は紙での請求。 - 現在紙レセプトでの請求が認められている医療機関・薬局については、院内等の電子化が進んでいない現状に鑑み、オンライン資格確認導入の義務化の例外としてはどうか。
ここでもやはり来年4月の原則導入は揺るがないものの、紙レセプトでの請求を行っている医療機関や薬局については義務化の例外とする案が出ました。
なお、現状のレセプトの請求状況は下グラフの通りです。上記の紙レセプトに該当する医療機関等は、全体の4.3%、医科診療所の3.5%、歯科診療所の8.6%にあたります。
出典:厚生労働省「中央社会保険医療協議会総会資料」p.11
参考:
厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第526回)」
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